DIY趣味が高じて第二種電気工事士になったときの勉強法とか
前振り
これまでに2つ照明を自作しました。
とは言え、これは引掛シーリングより先の部分を作っているだけの話。引掛シーリングのコンセントから電気をとって照明を光らせています。
では、引掛シーリングのない場所に照明をつけようと思ったら?
近場のコンセントから電源ケーブルを頑張って延長させる分には資格はいりませんが、天井や壁の中の配線(屋内配線)を弄ろうとしたら、有資格者でしなければやってはいけないことになっています。
そこで必要なのが電気工事士の資格です。第二種電気工事士があれば、600V以下の一般用電気工作物の電気工事が一応はやってもよいことになります。家庭で流れる電気はだいたい100V(エアコンは200V)なので、第二種があれば照明の設置であるとか、趣味の範囲は事足ります。(……が、実際のところ独学だけで工事する人はいるのでしょうか??そもそも賃貸に住んでいるうちは自分でやることはないでしょう)
とりえあず、照明作りの参考になるかもと思い、第二種電気工事士の資格取得を目指すことにしました。
試験勉強するだけでも、コンセントやレセプタクルの取付け方とか、経験が積めました。
資格、試験について
- 試験日
- 上期:筆記試験(6月)→技能試験(7月)
- 下期:筆記試験(10月)→技能試験(12月)
- 試験方法
- 筆記試験:4択式マークシート
- 技能試験:40分位内に持ち込み工具を使って指定された工作物を作成
- 合格率:60%前後
- 受験者数:上下期合計で14万人程度(平成30年)
- 受験料:9300円(インターネット申込み)
- 受験資格:なし
- 必要な物:技能試験では自分の工具が必要
- 免状申請手数料:5200円(収入証紙)
- 上位資格:第一種電気工事士。ただしこちらは実務経験が必須。
免状取得の流れ
- 筆記試験2ヶ月前:受験申込み。筆記試験勉強開始
- 筆記試験2周間前:受験票受領
- 筆記試験
- 技能試験3週間前:筆記試験の合格確認。技能試験対策開始。
- 技能試験
- 合格通知受領
- 免状申請:収入証紙を買って電気工事工業組合に直接出向いて申請(地域によって違うかも)
- 免状取得
勉強法
前提条件
以下の条件に当てはまりそうな人や、そうではない人は、私の勉強法が参考になるかもしれません。
- 理系(大学で電磁気学を履修している程度)
- 電子工作がそれなりに出来る
- ICのマニュアルに載っているサンプル回路を自分で部品調達して作れる程度
- その他の資格
- 一級アマチュア無線技師とか
筆記試験対策
Amazonで調べると毎年最新の参考書が出ていて、上の本のように評価の高いものがいろいろありますが、お金をかけたくなければ、古本屋に行けば大抵置いてあります。筆記は内容が大きく変わることは無いので、多少古くても大丈夫。ちなみに私は平成30年の受験用に、平成22年の参考書を買いました。
まずは教本を一周すると、足りない知識が補えます。その後、配線記号や鑑別の暗記と、過去問をひたすら繰り返します。
とはいえ、暗記はあまり得意ではないので、いくつか覚えるときに工夫をしました。そのときの工夫は以下にまとめてあります。
過去問についてはスマホのアプリを購入。隙間時間に過去問を解きます。計算問題でも慣れればだいたい暗算で。
私が使っていたアプリは120円程度の有料のものでしたが、検索しても出てこなくなってしまいました…。有料でも参考書買うよりは安いです。
実技試験対策
実技の問題は予め候補問目13問が公開されています。そして、必要な器具・電線と教本が入ったセットが売られています。工具が全くそろってなければ、工具付きのセットも売っています。練習できる回数に応じて中身と値段が増えていきますが、電子工作等の経験があるなら練習は1回分で良いと思います。13問を何度も繰り返す気力があれば別ですが。ちなみに、繰り返し問題を解くときに足りなくなるのが、電線とリングスリーブですが、全問2周は出来ないにしても、結構余りました。それでも足りなくなったら、その時点で追加で買うのでも良いと思いますし、配線は短くして再利用することも可能です。
私はAmazonで器具・配線の1回分セットを購入しました。
勉強法としては、
一周目:単線図を複線図に直す。部品には手を触れない
二周目:時間を測って一通り工作物を作る。必ず複線図を書くところから時間を測り、作り終わったらチェック箇所を確認すること。
三周目:気になった問題だけ、再度時間を測って工作物を作る。
実際に手を動かして、時間に余裕があるようなら自信を持って本番に挑みましょう。
工具は持っていないものだけ購入しました。以下、工具の覚書。
圧着工具
柄が黄色のものが必要です。第二種電気工事士なら大サイズのリングスリーブは使わないので、ロブテックスのミニ圧着工具で十分です。
ワイヤーストリッパー
VVFケーブル用ワイヤーストリッパーは時短のため必須です。電子工作用とはサイズが違います。合格ケージという名前の、ストリッパーにつけるメモリも、時短に役立ちます。ワイヤーストリッパーの裏にもメモリが書かれていますので、例えば10cm被覆を剥く、という時はいちいち定規で測らず、ワイヤーストリッパーのメモリにケーブルを合わせ、爪を立てて痕をつけ、それを目安に剥くと時間が短縮出来ます。
↑爪を立てて被覆に痕をつける
ドライバー
持っていなければこの際に揃えましょう。VESSELのプラスドライバーは+2×100、マイナスドライバーは-5.5×100辺りが良いかと。
電工ナイフ(の代わり)
電子工作で電工ナイフはOLFAのクラフトナイフで代用しました。なお、カッターナイフは刃が薄すぎて適していません。
ウォーターポンププライヤー(の代わり)
ウォーターポンププライヤーの代わりに、KNIPEXのプライヤーレンチを使いました。ウォーターポンププライヤーとモンキーレンチを足したような優れ工具です。任意の幅のものをガッチリ掴み、しっかり回すことが出来ます。高いけど、オススメ。
工具箱
100均のプラケースで十分です。
受験後に得られた(残った)もの
- 免状
- とりあえず資格取得という目的は果たしました。資格が活かされることは当分無さそうですが。
- 新しい工具たち
- 圧着工具とワイヤーストリッパーは当分使う機会が無さそう。他は普段から使うものたち。
- 練習セットの材料たち
- 50cmくらいに切られた大量のVVFケーブル等
- 被覆を全部剥いてワイヤークラフトでもしてみようかな
- レセプタクル
- また照明でも作ろうかな…
- スイッチ
- スイッチ付きの子供のおもちゃでも作ろうかな
- 端子台
- 電子工作に…使うかなあ
- コンセント
- おもちゃにするには危険だし、使う予定もない。どうしよう
- ブレーカー、電線管、その他
- こっちも全く使う予定がないので、どうしよう
- 50cmくらいに切られた大量のVVFケーブル等
全国14万人の受験者は練習に使った材料をどうしているんだろう…?
とりあえず、そのまま捨てるには偲びない銅線で何か作ることにしました。使用済みのVVF1.6はかさばってたのでとりあえず外装被覆剥いてみたのが下の写真。一通り練習して使わなかったケーブルも結構残ってます。